第2編 歴史 第4章 近代・現代 第2節 財政と村政 1 旧村時代の税制と財政 昭和時代の財政状況 昭和時代の一般会計予算書では、町役場所蔵の(注)資料から、27年度の花見村のものを例にする(予算編6号を参照、他の2町村は、同年度の歳入・歳出の総額だけを示した)。 花見村の場合、歳入総額のうち、村税が約57パーセントを占める。現在の地方交付税に相当する平衡交付金は、村税の約2分の1に過ぎない(平衡交付金が少額な点は、舎人村、東郷松崎町の場合もほぼ同様である)。ちなみに昭和61年度の東郷町予算では、地方交付税が町税の2倍に逆転している。 歳出では、役場費などの行政費に比べて、土木費などの公共的事業費が極端に少ないのが目につく。太平洋戦争後の急激なインフレなどによって財政が悪化し、昭和28年の東郷町合併を促したと思われる。 なお、同27年7月に出された、県知事の町村合併の勧告(『羽合町史後編』所収)では、県下市町村行政は当時「財政面からの制約により、緊急な、しかも重要な施策を放棄の止むなきに至っている」ところが多く、とりわけ小規模町村では「国や県から委任された事務を辛うじて執行することと、基本的経済を漸く維持することに終始しており、市町村本来の目的たる助長行政や災害復旧行政その他公共事業等には、殆〈ほと〉んど手も足も出ない現状であり」、合併による町村財政の確立と健全化が緊急の要務であったとしている。 (注)「自昭和二十七年度至二十八年度東郷町歳入歳出決算書」。これには、次のような旧・各町村の決算書が収録されている。 昭和二十七年度旧花見村一般会計歳入歳出決算書 昭和二十七年度旧花見村保育園特別会計歳入歳出決算書 昭和二十七年度旧花見村役場庁舎建築特別会計歳入歳出決算書 昭和二十七年度旧花見村保育園建築特別会計歳入歳出決算書 昭和二十七年度旧花見村立更生寮歳入歳出臨時部事業運営決算書 昭和二十七年度旧花見村佐美溜池復旧工事費特別会計歳入歳出決算書 昭和二十七年度旧花見村長和田溜池復旧工事特別会計歳入歳出決算書 昭和二十七年度旧舎人村一般会計歳入歳出決算書 昭和二十七年度旧舎人村特別会計林道開設事業歳入歳出決算書 昭和二十七年度旧東郷松崎町歳入歳出決算書 昭和二十七年度特別会計東郷中学校歳入歳出決算書 昭和二十七年度旧東郷松崎町国民健康保険特別会計歳入歳出決算書 このうち、国民健康保険事業は東郷松崎町だけが特別会計で運営していたことが知られる。加入者数などは明らかにできない。また他の2村は、保険組合を結成して事業を行っていたとみられる。 |
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