第2編 歴史
第4章 近代・現代
第2節 財政と村政
 1  旧村時代の税制と財政

村税の賦課方法
 明治22年の町村制施行以来、町村税は、国税や地方税(従来の府県税などに相当)の付加税として徴収された。すなわち、直接国税の付加税として「地価割」と「所得税割」、地方税の付加税として「営業税割」と「戸別割」が課せられた。しかし、町内には農業のほかは見るべき産業がなかったためか、所得税割と営業税割の収入は少額で、大部分は地価割と戸別割が占めていたことが知られる。
 ここでは、前項で触れた明治26年度の東郷村・松崎村組合予算表の付記(予算編1号を参照)に基づいて、村税の賦課状況を述べる。
 まず地価割は、当年度の組合村内の地租(国税)3,432円余の14.28パーセントに当たる490円余が計上されている。各戸に課せられた地租に、この率を乗じた金額が地価割として徴収されたのであろう。
 戸別割では、地方税の戸数割41銭8厘に対して、その約2.5倍に相当する1戸当たり平均1円5銭6厘6毛弱の付加税を徴収することにしている。この額を、組合村内の戸数381戸(戸数から推して無位は除かれている)に乗じたものが、予算額402円余となる。その賦課方法は、まず1戸当たり30銭6厘の平等割で課したあと、残りの額を民等割(1位当たり63銭3厘)で負担させている。461・7位は、当時の組合村内の位数の総計である。なお、この予算表の付記には、後日に訂正した跡が数か所あるため、「但本割金ノ内……」以下を計算すると408円84銭2厘となり、予算額の数値と一致しない。



明治31年度の「東郷松崎組合村税(戸別割)領収証」

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