第2編 歴史
第2章 中世
第2節 鎌倉・南北朝時代
 2  東郷氏と東郷荘

湯谷院主良全
 次の2名は、三朝地頭信定の孫にあたる。
 長全=少輔竪〈じゅ〉者、墓父同
 良全=三徳山領湯谷院主、大師公
 良全については傍証となる史料がある。「壬生〈みぶ〉文書」(宮内庁書陵部蔵)の「美徳山領湯谷別所検注目録」の奥書にその名が見える(『鳥取県史』所収)。検注目録とは、荘園領主が年貢・課役徴収のため、所領の調査(検注)を行い、その結果を記したものである。奥書は次のとおりである。
右目録注進如件
康永参年〈(一三四四)〉十二月日 公文代 良一(花押)
 院主 良全(花押)
 書生 俊重(花押)
検注使兼預所〈(注)あずかりどころ〉 基広(花押)
 (注)荘園で、領家の代理となって荘務を管埋する職
 この文書中の院主良全は、系図の良全に比定できる。系図に載った人の中で、傍証によって確認できる唯一の人物といえよう。


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