第2編 歴史
第2章 中世
第2節 鎌倉・南北朝時代
 2  東郷氏と東郷荘

九州の原田氏
 日本史に名を残すものに筑前(福岡県)原田氏がある。12世紀末の源平合戦のころ、九州大宰府の権小弐を務め、平家の家人となった原田種直(系図の種直とは同名異人である。年代が違う)の名はよく知られる。彼は「原田荘を中心に3700町歩ともいわれる広大な所領を有し大蔵一族の惣領的な存在であった」とされる(倉住靖彦『大宰府』教育歴史新書)。筑前原田氏も大蔵一族であった。伯耆に移った原田氏とはどちらが宗家とも決め難いが、同族とみなければならない。伯耆原田氏は筑前から移ってきたものと思われる。
 両者において著しく相違するのは、大蔵氏から原田氏に変わった時期である。筑前原田氏は11世紀以後と推定されるのに対し、伯耆原田氏は系図によれば5、6世紀のころと算定される。
 本稿では、伯耆への移住以後を対象とするので、それ以前については論及しない。


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