第2編 歴史 第2章 中世 第2節 鎌倉・南北朝時代 2 東郷氏と東郷荘 史料紹介 『羽合町史前編』は、ここに紹介する「原田氏系図」の所蔵者を兵庫県芦屋市の原田元一と記し、この系図を初めて我が郷土にもたらしたのは、東郷町別所の故浅田愛蔵であるとしている。 この系図は、『羽合町史』に続いて『続三朝町誌』などに取り上げられ、その後、大阪市立大学(当時)の渡辺久雄が、その著『忘れられた日本史』の中で考察を加えている。 この系図で注目すべきことは、郷土の名「東郷」氏を名乗る家系が生じていることである。本稿では、主としてこの家系について述べるので、「東郷氏」と記すのを原則とするが、出典はすべて「原田氏系図」である。 系図と共に関係文書がそろっていることが望ましいが、両者が伝来する例は数多くないようである。史学の立場からすれば、ほかに傍証となる史料もなく、系図だけですべてを論ずるのは問題がある。この点を十分に考えながら、本稿ではこの系図によって、史料の少ない郷土の歴史の一端を考察していくこととする。 なお、系図の全文は資料編68号に収録した。 |
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