第2編 歴史 第2章 中世 第2節 鎌倉・南北朝時代 1 東郷荘 東郷荘の荘域 東郷荘の荘域は、絵図によれば、野方・笏賀・三朝・竹田・西郷及び北条郷に囲まれた区域である。郷名でいえば、東郷・埴見・河村(羽合)の3郷とみられる。荘園成立の際、この3郷を総括して「東郷荘」と名付けたものであろう。 このうち、一ノ宮領として長江・宇野・那志多(宇谷から入った谷に比定される)が点在する。これらの地域は一ノ宮の所領であり、領家松尾社の支配外であったとみられる。絵図上に、水面と同色の山が見えるが、これは一ノ宮領を表しているようである。とすれば、荘域外ではあるが、笏賀も一ノ宮領であったと推察される。 東郷荘を取り囲む地名は、「三朝」「竹田」などのように郷名が記入されているが、「野方」は例外である。この地域の郷名は「舎人」のはずであるが、「野方」と記入された理由は明らかでない。 また、長瀬村は北条内と記してあるから、東郷荘の域外であったとみられる。 |
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