第2編 歴史 第2章 中世 第2節 鎌倉・南北朝時代 1 東郷荘 東郷荘の成立時期 荘園制とは、貴族・寺社などの権門勢家による私的な領有地並びにそれに基づく社会的諸関係をいい、7世紀から16世紀末まで、ほぼ我が国全域にわたって存在した経済機構である。畿内では、特殊な要因により成立した荘園もあったが、普通、その発生から9世紀までに成立したものを墾田地系荘園(本所と呼ばれる所有者が自ら開墾を進めた荘園、初期荘園ともいわれる)といい、10世紀以降に成立した寄進地系荘園(在地領主層からの所領寄進などによって成立した荘園)と区別される。 東郷荘の成立時期を確定する史料はたいが、戦前から荘園研究を進めた西岡虎之助によれば、平安時代末期ないし鎌倉時代初期と推定している(「絵図から見た荘園の話」『荘園絵図の基礎的研究』所収)。したがって、東郷荘は寄進地系荘園とみることができる。荘園領主を領家と呼ぶ。東郷荘の領家は京都の松尾社(現在の松尾大社)であった。 |
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![]() 京都の松尾大社 |
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