第1編 自然と地理
第1章 自然と環境
第3節 地質と資源
3 地下資源
方面・麻畑のウラン鉱床
昭和30年8月に倉吉市管ケ原地内で、同年11月に三朝町の人形峠で、相次いでウラン鉱床が発見された。我が国の採掘可能なウラン鉱床の初めての発見であった。
2年後の32年12月、方面地内で同所・遠藤良一がウラン石などを含む白色の粘土試料を採取した。鑑定の依頼を受けた原子燃料公杜(現・動力炉核燃料開発事業団)倉吉出張所は、翌三十三年一月現地調査をし、人形峠と同じたい積型のウラン鉱床の露頭であることを確認した。たい積岩中の鉱床露頭としては県内で第一号の発見であり、その後の同公杜の広域探査を促す端緒となった。すなわち、同年五月から町域の麻畑・羽衣石・飯盛山・仙津山・鉢伏山をはじめ、隣接した三朝町、青谷町などで調査が進められ、三〇か所でウラン鉱床の露頭が相次いで発見された。方面で最初の(注)坑道探鉱(口絵写真を参照)が開始されたため、これらは一括して東郷鉱山と呼ばれている。
ウラン鉱床を含む周辺の地質は、鳥取花崗岩に属する粗粒黒雲母花崗岩と、中新世の小鹿川火砕岩層、及びこれらを覆う鮮新世の玄武岩類、安山岩類で構成されている。こうした点から、当地のウラン鉱床は、花崗岩中のウランが熱水で溶出され、真上にたい積した砂礫層中に沈殿してできたと考えられる。
東郷鉱山のウラン鉱石には、人形石・べーターウラノフェン・カルノー石・ボルトウッド石・ランキル石・ウイークス石の鉱物が含まれていた。このうち、人形石は世界で初めて産出した鉱物である。また、ほかの鉱物も、我が国では東郷鉱山が唯一の産出地である(佐藤学而「鳥取県中部地区の堆積型ウラン鉱床について」鳥取県科学教育研究会機関誌『科研会報』第15号所収)。
(注) 坑道探鉱は、麻畑でも実施された。また、羽衣石・仙津山・鉢伏山・飯盛山ではボーリング調査、方面・麻畑・仙津山・羽衣石では鉱量の計算も行われた。一連の調査は昭和三十七年度で終了したが、方面・麻畑では鉱床の実態が把握された。そのウラン鉱石は純度の点で評価が高い。現在、我が国で利用されるウラン鉱は外国からの輸入品である。将来、東郷鉱山でも採掘される可能性を残している。
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東郷鉱山で産出する人形石の結晶
細長い形が特徴である。
(動力炉・核燃料開発事業団人形峠事業所提供) |
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