第1編 自然と地理
第1章 自然と環境
第3節 地質と資源
1 地質の概略
町域内の地史
町域内に分布する岩石は、別添「付図」地質図(注)のとおりである。以下、この図と表1地史概略表に基づいて述べる。
広い面積を占める花崗岩は本町の基盤岩石で、「鳥取花崗岩」と呼ばれる。今から6000万年前、第三紀初頭までに激しい火山活動によってできたものである。なお、この花崗岩に先立って、中生代・白亜紀の火山活動で生じた流紋岩類が佐美で見られる。町内で露出する最古の岩石である。
続く中新世から鮮新世にかけて、県中部地区は陸上火山の激しい活動の場となり、三朝層群と呼ばれる火山岩類が形成された。その中の小鹿川火砕岩層と呼ばれるものは、中新世後期に局所的な陥没と火山活動がもたらした産物である。この岩層は麻畑などの谷あいに見ることができる。なお、小鹿川火砕岩層の内部などに挾まれた砂岩や泥岩のなかから、隣の三朝町では植物や昆虫の化石が発見されている。町域内では、まだ化石は見つかっていない。また、この時期の礫岩層のうち最大規模のものが、ウラン鉱床で有名な人形峠層である。佐美、埴見にも、この層の分布がある。
次の鮮新世の時代の火山活動は、町域の山地・丘陵を造っている大量の溶岩をもたらした。玄武岩に始まり、流紋岩の形成に至る火山活動が少なくとも二回繰り返されている。町域に広く分布する玄武岩と安山岩は、この時代のものである。なお、この溶岩は恐らく全町を覆ったものと思われるが、その後雨水などによって浸食されたため、前述したように町内のところどころで古い時代の花崗岩などが露出する結果となっている。
洪積世は氷河の消長に伴って、海面の昇降が繰り返された時代である。この時代の地質の1つに大山火山灰層がある。層の厚さは2〜15メートルで、最下・下・中・上の4層から成っている。町域では、下・中・上の3層が観察される。
1万年前以降の沖積世に入って、河川の浸食でできた広い谷が、海進によって埋め立てられ、小規模な平野が形成された。東郷湖の周辺では、沖積層の上部が河川によるたい積地層で、その下は海成層(海底にたい積した層)であることが、各所のボーリング試料から推定される。
| (注) |
別添「付図」の地質図は、火山灰などの表土をすべて取り除いた基盤岩石(地層)の分布状態を真上から見たものである。
前述した鉢伏山・御冠山・大平山の各山地は、現状はそれぞれの基盤岩石の上を大山火山灰が覆っている。
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