第2編 歴史
第4章 近代・現代
第6節 観光
 1  温泉街の発展

旅行ブームの到来
 松川二郎著「科学より見たる趣味の旅行」(日本交通公社刊『人はなぜ旅をするのか』第九巻所収)によると、国内の旅行ブームは、明治後半から大正初期にかけての第1期と、大正13年からの第2期に分けられるという。第1期は、前述した田山花袋の『日本一周』など、数多くの旅行書に刺激されたものであった。また、大正13年は、日本の主要な鉄道網が完備されたころで、鉄道省・満鉄などで組織する「日本旅行文化協会」が設立され、その機関誌として月刊『旅』が創刊されている。翌14年には、国鉄監修・日本交通公社発行の『時刻表』の販売も始まった。鉄道を利用した旅行ブームが再来したのである。
   
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