第四編 民俗
第四章 人の一生
第五節 葬送

末期の水
 死期が近づくと、親せき縁者が最後の見舞いに集まった。臨終が近いと、一人一人、布や紙に水を含ませて唇をぬらし、末期〈まつご〉の水を飲ませた。このころ、死体から離れようとする魂を呼び戻すため、屋根に上り大声で呼びながら、ムシロを振る習俗があった。民俗学では魂〈たま〉呼びといわれる。特に不慮の災難で死亡した場合によく行われた。
   
<前頁
次頁>