第四編 民俗
第四章 人の一生
第二節 生育

若衆組
 小学校を卒業すると、男子は村の若衆組に入った。人の集まりやすい家を頼んで若衆宿に借り、ここに毎晩集まって世間話や百姓仕事、娘の子の話などをした。また、力石〈ちからいしを担いだり〉棒押しなどの力比べも行った。米俵(米六〇キログラム入り)をかつぎ上げられるようになった時には、皆で力祝いをして祝った。正月のどんど祭りや盆踊り、祭りのみこしかつぎなども若衆組の仕事として任されていた。
 時には、皆で飲食する「もやい」も行った。材料は皆で持ち寄ったが、昼間から目を付けていたよその畑の作物を盗むこともあった。このような行為も若衆組の特権として半ば公認されていたものである。若衆組として買った物はもやい帳に記入しておき、盆と暮れのせきに支払った。
 若衆組は一見して目的のない集まりのようにもみえるが、年上の者から社会人となるための素養を自然に学び取ったのである。その後、青年団が組織され、若衆組の若手層は青年会に加わったが、しばらくは若衆組も存続した。


別所の力石(丸い石で、直径30〜40cm)


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