第四編 民俗 第三章 生産・生業 第二節 漁労 一 姿を消した漁法 穴すくい漁法 穴すくいと呼ばれる漁法は、上浅津の若松重蔵(故人)独特の名人芸であった。湖底に杭で穴を開け、その中に集まった寒ブナをタモですくいあげる漁法である。穴の口径は二〇センチメートルぐらいで、内部はそれより広く作った。何の目印もなかったが、若松は櫓を操りながら、舟を穴の真上にピタリとつけたという。一個の穴から二〇〜三〇キログラムのフナが獲れた。狭い穴を好むフナの習性を利用したものであるが、その位置を適確に当てる勘のよさは、だれにもまねができないものであったといわれる。 |
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