第四編 民俗
第三章 生産・生業
第二節 漁労
 一  姿を消した漁法

もじ網漁
 もじ網漁は、年間を通じた東郷湖の中心的な漁法であった。蚊帳のように目の細かい網を用い、ヌカエビ・ゾウゴ(ゴズの子)などを獲った。日暮れ時から翌朝の夜明けまで、弁当持ちで夜通し操業した。二隻が一組となって網を引き寄せる漁法(引き網の一種)で、一晩に少なくても八回、多い人で一二回ぐらい繰り返した。一回の網で、ヌカエビの場合平均八〜一〇キログラムが獲れたという。夜間の漁法のため、次に述べるすいた網と同様、近年操業する人がほとんどいなくなった。


図5 もじ網


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