第四編 民俗
第二章 衣・食・住
第一節 服飾

仕事着
 仕事着の生地は、ほとんどが自家の機織り機で織った木綿であった。男は上衣にハッピを着た。腰までの長さであったから、腰切りハッピともいった。単衣〈ひとえ〉・袷〈あわせ〉・綿入れのほか、木の皮の繊維をつむぎ厚く織ったあつし織りなどもあって、季節に応じて着替えた。帯はシゴキ帯で、木綿幅のものを六尺に切り、腰に二〈ふた〉回しして結んだ。下はモモ引きをはいた。モモ引きは腰の後ろが開いており、はいてから合わせ、ひもで結んだ。
 女の上衣もハッピで、腰までのものと、ひざ上までのものがあり、かすりやしまの柄であった。男女とも補助衣類として綿の入ったどうぶく、さるこ(そでなし)、はんてんなどを着、女は前垂れ(前掛け)、たすき、手おいをした。モンペは昭和十二、三年ごろ国策により推奨されたものであるが、作業には便利であった。
 なお、男の下着はメリヤスシャツにふんどしであった。ふんどしはサラシ木綿で作った六尺ふんどしであったが、大正のころに越中ふんどしに変わった。これは、このころズボンが流行したことと、布丈が半分で済んだためであった。サルマタは町の人が大正のころからはいていた。一般の人にパンツが普及したのは戦後のことである。
 女はサラシのじゅばんにいまき(おこし)を着た。娘や若嫁は赤や柄物、年配の人はしま物のおこしであった。女の子は小学校入学前から着けた。
   
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