第2編 歴史 第1章 原始・古代 第4節 古墳時代 4 主な遺物 三角縁神獣鏡 古墳の副葬品の1つに、銅鏡がある。弥生時代にも鏡はあったが、古墳時代になってから爆発的に数が増える。鏡には中国製のもの(舶載鏡〈はくさい〉)と、それを模倣して日本で作った、いわゆる ![]() 古墳時代前期を象徴する鏡が、三角縁神獣鏡である。背面に、神仙思想に基づく神像と竜〈りゅう〉・虎〈とら〉などが表され、外縁の断面が三角形をしていることから、この名がある。同種の鏡は、これまでに畿内を中心に、北九州から関東の一部にかけて200面以上も出土している。従来、この鏡は、中国の魏〈ぎ〉から邪馬台国の女王・卑弥呼に贈られた鏡100面と関連して考えられていたが、中国に同種の発見例が全くないことから、学界の謎〈なぞ〉とされている。 伯耆では、馬ノ山4号墳をはじめ、倉吉市国府の国分寺古墳、会見町寺内の寺内普段寺古墳などから三角縁神獣鏡が発見されている。このうち、馬ノ山出土のものは、正確には三角縁三神二獣博山炉鏡と呼ばれ、博山炉(香炉の名)の図柄を持つ珍しいものである。これらの古墳は、いずれも4世紀(古墳時代前期)の築造と考えられる前方後円墳であり、大和朝廷と何らかの関係を持った地域首長の存在が推定できる。 『鳥取県史』によると、前記馬ノ山4号墳からは、堅穴式石室内の木棺から三角縁神獣鏡のほかに画文帯環状乳神獣鏡〈がもんたいかんじょうしんじゅうきょう〉、方格12支禽文鏡(以上舶載鏡)、内行7花文鏡、変形2獣鏡(以上舶製鏡)の5面、箱式棺から変形4獣鏡一面( ![]() |
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![]() 馬ノ山4号墳第1主体から出土した 三角縁三神二獣博山炉鏡 (東京国立博物館所蔵) |
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