第1編 自然と地理
第1章 自然と環境
第5節 気候

概説
 鳥取県は、日本海岸式気侯区のうち山陰型に属している。北陸よりも温暖で、雨雪も少ない。
 また、瀬戸内と比べると日照時間が少なく 高湿多雨であるが 夏は涼しく冬は暖かいとされる(岩永実著『鳥取県地誌考』)。
 鳥取県の中部に位置する本町の地形は、南東部で高く、北西部で低くなっている。しかも北西は東郷湖に接し、羽合平野を挟んで日本海に近い。標高では、国民宿舎・水明荘近くの1.3メートルに対して、麻畑や十万寺地区では260メートル前後、さらに南東の大峯では670メートルと高度差が大きい。したがって、同じ町内でも地形的な要因による気侯の変化がかなり見られる。冬期間、平野部で積雪がなくても、北西の季節風が直接吹きつける鉢伏山などで雪化粧したり、あるいは地坂峠で積雪がないのに波関峠では積雪が見られたりする。
 次に、幾つかの気象データを基に町内の気候の特色を概観したい。ここでは、松崎駅構内で毎朝午前9時に観測した米子鉄道管理局倉吉保線区所蔵の資料を採用し、昭和58年までの4年間の平均記録を抜粋して掲げている。本町の近くでは、鳥取気象台倉吉地域気象観測所が倉吉市大塚で、また、建設省倉吉工事事務所が同市福庭で、それぞれ気象を観測しているが、おおよその気象データの傾向は倉吉保線区のそれと大差ない。以下、倉吉保線区のデータによって述べる。

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