第1編 自然と地理
第1章 自然と環境
第3節 地質と資源
3 地下資源
砂鉄
我が国では古代から、砂鉄・木炭を原料とする和鉄製錬法があった。その製錬場を「たたら」と呼ぶ。たたらでは、砂鉄から得た鉄の炭素分の含有量を少なくして、鍛冶屋が使える鉄材料に仕上げるまでの作業を行った。広く中国地方の基盤造っている花崗岩は、良質の磁鉄鉱を含んでいる。その風化した真砂土を使って、各地でたたら製鉄が盛んに行われた。
なお、『鳥取県史1原始古代』は、特に日野郡の奥地での鉄生産と古墳文化の関係を指摘している。本町でも小規模ながら(注)「たたら跡」が見られる。
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| 羽衣石にある鉄山師の墓 |
| (注) |
町内で確認できるたたら跡は、方面で二、川上で一、波関峠近くで三、羽衣石で三(うち十万寺で一)の合計九地点である。また、砂鉄を採集するために設けられた「かんな井手」(水路)は、羽衣石地区で五地点が確められた。なお、羽衣石字「観音前」の伯者札所(お堂)の後方にある墓石に刻んだ戎名に、「鉄翁」の文字が見える。たたら製鉄に従事した人のものであろう。寛保三年(一七四三)の年紀がある。
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