構想

(4)安全で住みやすく環境と共生するまちづくり

 安全で住みやすい環境づくりを行うため、住民生活に密着した道路等の整備をあらゆる環境に配慮しながら、計画的に推進します。
 また、災害に強いまちづくりを推進するため、自主防災組織の充実、防災システムの整備など、緊急時に備えた体制の強化に努めるとともに、防災意識の高揚、知識の普及啓発に努めます。
 さらに、地球温暖化に代表される環境問題への取り組みを推進するとともに、ごみの減量化やリサイクル化など、環境美化活動の充実を図りながら、自然環境の保全に努めます。
 近年、増加傾向にある消費生活相談については、多様化する様々な相談事例に対して、的確に対応するための体制強化を図るとともに、住民への情報提供と意識の醸成に努めます。

・交通環境の充実

 山陰道青谷羽合道路、国道9号へのアクセス道路をはじめとする幹線道路の整備を進めるとともに、生活に密着した町道の整備を計画的に進めます。
 また、住民の交通手段の確保のため、福祉や観光振興等の観点も踏まえながら、公共交通ネットワークのあり方を検討します。
 公共交通機関の充実や道路整備にあたっては、ユニバーサルデザインの導入やバリアフリー化など、思いやりのある利用環境づくりに努めます。

・公園・緑地の充実

 東郷池をはじめとする本町の自然景観を保全していくために、「景観法」「鳥取県景観形成条例」に基づき、総合的な景観施策を展開します。
 また、公共空間や公共施設、民間建築物など、地域の特性に配慮した整備や機能の更新に努めるとともに、周辺のまちなみに配慮した景観の形成を図ります。
 さらに、町民や事業所等との協働により、「湯梨浜町ふるさとを守る環境美化条例」の啓発に努めながら、景観意識の向上と環境美化の促進に関する取り組みを推進します。
 公園緑地の整備にあたっては、各関係機関との連携を図りながら、拠点施設の整備を進めるとともに、地域の特性に応じた公園づくりに努めます。

・河川・上下水道の整備

 東郷池を拠点としたまちづくりを形成するため、池の生態系を崩すことなく、自然を取り戻すような池畔整備を行うとともに、浸水や冠水被害を未然に防止するために、計画的な河川整備を行います。
 整備にあたっては、近年多発する局地的な集中豪雨に対応した整備を行うとともに、水辺が持つ景観やレクリエーション機能、生き物の生息環境等に配慮した整備手法の導入も検討します。
 上水道は、合併により統合され、配水池の新設、送配水管の改良等を実施してきましたが、災害時等には断水や水圧低下等のおそれがあるため、配水管の相互接続等の検討により、どのような時でも安定した水が供給できるように、施設や設備の維持管理、機能の更新に努めます。
 下水道は、快適で衛生的な生活を営むための根幹的な施設であり、河川・池沼・海の水質汚濁を防止し、良好な水辺環境を保全していく上で、重要な役割を果たしています。
本町では、公共下水道、農業集落排水処理施設、合併処理浄化槽施設による下水道整備率は100%を達成していますが、布設から20〜30年が経過した管渠もあり、計画的な老朽化補修工事により施設や設備の延命化整備に努めます。また、下水道のPRを一層進めるとともに、未接続世帯の解消に努めます。

・住環境の充実

 若年層からお年寄りまで、あらゆるニーズに応じた公営住宅の維持管理を行うとともに、既存公営住宅のバリアフリー化など、障がいのある人、お年寄りに優しい住宅の整備に努めます。
 また、個人住宅、民間事業所等の耐震対策、アスベスト対策の啓発を図り、安心安全の住環境の整備を推進するとともに、生活環境に悪影響を及ぼす不法行為の防止、公害対策等の環境意識の高揚に努めます。
 地域の安全性・安心感を向上するためにも、町民自らによる自主防災組織の育成やパトロール活動の充実、関係機関の連携など、防犯体制の充実とともに、防犯灯の設置等防犯環境の整備や防犯意識の高揚に努めます。
 さらに、高齢化の進行や社会情勢の変化により、空き家が増加していることから、U・J・Iターンの支援など、定住対策にも努めます。

・消費者安全対策の充実

 町民の利益と安全の確保のため、鳥取県消費生活センター等との連携を強化し、消費生活相談機能の充実を図ります。
 また、必要知識の普及や情報提供、消費生活に関する活動の支援等に努めます。

・環境負荷の低減

 地球温暖化防止対策、環境保全対策等に積極的に対応するため、啓発活動と具体的な取り組みを推進するとともに、総合的な環境施策を展開します。
 また、生活系廃棄物の減量運動の展開、分別収集の徹底による再資源化率の向上を目指すとともに、生ごみの分別収集に取り組み、肥料化、飼料化を進めながら、循環型社会の構築を目指します。

・自然環境の保全と活用

 環境と共生したうるおいのある生活圏を創造するため、海、池、山等の自然環境の維持に努めるとともに、野生動植物が生息できる環境を創出します。
 地球温暖化対策においては、平成20年に京都議定書が発効したことに伴い、「湯梨浜町地球温暖化防止実行計画」を策定し、その目標の達成に向けて努力します。
 本町の豊かな自然環境を守り育てる取り組みとして、「湯梨浜町ふるさとを守る環境美化条例」を制定し、環境保全に努めるとともに、東郷池を対象としたアダプトプログラムを展開しながら、環境教育活動の支援を進めます。

・災害に強いまちづくりの推進

 災害に強いまちづくりを推進するために、地域防災計画の充実や防災体制の確立、治山・治水の推進、地域防災力の向上など、効果的な防災、防火体制の整備に努めます。
また、消防体制の整備と併せて、救急活動の充実に取り組みます。

・交通安全の啓発と推進

 子どもやお年寄り等が安全に生活できるように、交通安全施設の整備・充実はもとより、地域と行政、警察等が連携して、交通安全教室の推進や交通規制の点検と見直し等を実施します。

(5)共に支え合い笑顔いっぱいのまちづくり

 社会福祉、保健・医療の分野は、少子・高齢化の進行等を受けて、様々な施策や制度が創設・変更されており、町民ニーズにあったサービスの提供が求められています。また、すべての人にやさしいまちを目指して、お年寄りや障がいのある人等を地域全体で支える取り組みを推進することも大切です。
 そのため、福祉に関する様々なサービスの充実や施設・設備の整備を進めるとともに、だれもが不自由なく社会参加できるバリアフリーのまちを実現します。
 また、地域医療が充実し、いつまでも健康で生きがいの持てる社会を構築するとともに、地域の中で共に支え合う仕組みや防災体制を整え、だれもが安心して安全に暮らし、快適に過ごせるまちづくりを進めます。

・地域福祉の推進

 ノーマライゼーションの理念のもと、子どもからお年寄り、障がいのある人等すべての町民が住み慣れた地域で快適に暮らし、自由に社会参加できるバリアフリーのまちを実現します。
 そのため、道路や公共施設等のバリアフリー化はもとより、一人ひとりが大切にされ、お互いの個性や違いを認め合い、偏見や差別等を取り除く「心のバリアフリー」に対する取り組みを進めます。
 また、お年寄りや障がいのある人を地域で支え合うことができるように、施設や設備の整備、各種サービスの充実はもとより、ボランティア団体の育成や支援体制の拡充、施設や団体等とのネットワーク化を進めます。
 さらに、シルバー人材センター、地域活動支援センター等の活動支援により、お年寄りや障がいのある人の社会参加を積極的に促進します。
 核家族化の進行や女性の社会進出に伴う多様な保育ニーズに応えるため、一時保育ファミリー・サポート・センター、子育て支援センターの拡充等保育環境の整備に努めます。
 また、育児不安を抱える保護者や地域の中で孤立しがちな家庭を地域全体で支え、支援していくための意識の醸成に努めます。

・低所得者福祉の充実

 失業による収入の減少や、高齢、母(父)子、傷病、障がい等の要援護世帯の増加など、近年の社会経済情勢の悪化により、生活保護世帯は増加傾向にあります。
 そのため、関係機関との連携を図りながら、経済的な援助や福祉、保健、医療をはじめとする様々な援助体制の充実に努めるとともに、生活意欲の助長や自立更正に向けて、適切なサービスを提供していく必要があります。

・保健・医療の充実

 人生80年時代を迎え、人々の健康に対する関心は年々高まっています。その一方で、生活習慣病や心の病等の増加傾向が見られ、若い時からの健康づくりが重要になってきています。
 そのため、元気で健康な日々を過ごせるように、食事や運動等に関する情報提供や講習会等の開催、健康相談窓口の充実など、自らが手軽に楽しく健康づくりに取り組むことができるような体制を整備します。
 また、緊急時や日頃のニーズに対応した適切な医療サービスが提供できるよう、保健・医療・福祉等の関係機関がネットワーク化した医療・救急体制の整備に努めます。
 子育て施策については、子どもを産み育てやすい町づくりを目指して、妊娠期から出産、育児にわたる系統だった支援を進めます。特に、乳幼児健康診査や育児相談、訪問指導等を通して、育児不安への支援や児童虐待予防と早期発見に努めます。

・社会保障の充実

 町民の豊かな生活を支えるために、国民健康保険や後期高齢者医療制度、介護保険、国民年金制度等を適正に運営します。

(6)参画と協働による町民が主役のまちづくり

 社会経済の進展に伴い、生活様式や個人の価値観は多様化し、徐々にコミュニティーの機能が低下しています。
 そのため、町民と行政が一体となり、町民相互のふれあいによる連帯感あふれる地域社会づくりを推進していく必要があります。
 その一方で、高齢化社会の進行等により地域の支えを必要としている人が増加傾向にあることから、様々な交流を促進しながら、ボランティア、NPOの育成や活動支援に努めます。
 また、自立した町政運営を行うために、町民一人ひとりが積極的にまちづくりに参画し、町民と行政が連携、協働してまちづくりを推進する環境を整備することが必要です。
 そのため、情報公開制度を拡充し、各種事業や計画の実施、策定において、初期の段階から町民の意見が反映される住民参画の仕組みづくりに努めます。
 また、より地域に密着した町民の意見やニーズを的確に把握することに努めるなど、開かれたまちづくりを進めます。

・住民参画社会の推進

 元気でいきいきとした輝きのあるまちづくりを行うためには、町民一人ひとりが自ら考え、地域や行政に対して、主体的に提案や提言等を行い、それをまちづくりに活かしていくことが重要です。
 そのため、老若男女を問わず、町民すべてが積極的に社会参加し、自らが主体的にまちづくりに参画できるような環境の整備や仕組みづくりを行うことにより、より一層の住民参画社会を目指します。

・コミュニティー活動の促進

 地域の自立を促進するため、地域を支える住民の多様なコミュニティー活動を支援するとともに、活動の中心的な役割を担う指導者やリーダーの育成に努めます。
 また、住民同士が、お互いの地域の特色を尊重し、協調しながら新しいまちづくりを推進するための仕組みづくりを行います。

・多様な交流の推進

 町としての一体感を醸成するために、町の資源、観光、伝統、文化、自然など、特有の財産を国内外に積極的に情報発信することにより、様々な地域間交流が進められるよう働きかけを行います。
 また、行政と各団体とが連携し、新しいまちづくりのかけはしとなる交流を推進します。

・効率的な行政運営の推進

 限られた人員・財源の有効活用と町民サービスの向上を図るため、簡素・効率的な行政運営を基本とし、既存の枠組みや従来の発想にとらわれない行政改革を積極的に推進します。
 また、QMSによる住民サービスの品質向上等により、住民の満足度の向上に努めます。

・広域行政の推進

 消防・救急やごみ・し尿処理など、市町レベルでの処理が困難な行政需要については、近隣市町との連携による広域的な処理体制の充実に努めます。

・情報公開の推進

 協働と連携によるまちづくりを実現するためには、計画策定や事業実施の初期段階から積極的に町民へ情報公開することが重要です。
 このため、個人情報の保護に留意しながら、様々な機会や手段を通じて、町民への情報提供に努めます。
 また、情報の公開と併せて、個人情報の適正な取扱いが不可欠であり、個人情報保護条例に基づきながら、より一層のセキュリティー対策の強化を図ります。

・健全な財政運営の推進

 自主財源の安定確保に努めるとともに、行財政改革に積極的に取り組み、健全な財政基盤の確立を図ります。
 また、費用対効果・緊要度を勘案した施策の選択や重点化を進めるなど、より一層効率的かつ計画的な財政運営を図ります。


ユニバーサルデザイン
文化・言語・国籍の違い、老若男女といった差異、障がい・能力の如何を問わずに利用することができる施設・製品・情報の設計(デザイン)をいう。
バリアフリー
障がいのある人やお年寄りが、生活、利用するうえでの障壁を取り除くこと。
U・J・Iターン
Uターンとは、地方で生まれ育った人が都心で一度勤務した後に、再び自分の生まれ育った故郷に戻って働くことを言う。Jターンとは、地方で生まれ育った人が一度都心で働き、その後また故郷とは違った別の地方に移住して働くこと。Iターンとは、生まれ育った場所以外に転居、就職すること。
アダプトプログラム
アダプト(adopt)は、英語で養子にするという意味。道路や河川等の公共の場所を養子に見立て、住民や企業等が里親となって、美しい生活環境や快適な空間をつくるシステムのこと。
ノーマライゼーション
子どもや女性、障がいのある人、お年寄りなど、社会的に弱者であるとみなされている人々が、住み慣れた地域社会の中で、その人らしい安定した暮らしができるように、共に支え合い、互いに尊重し合える社会の実現を目指すこと。
一時保育
保護者の疾病など、様々な理由で家庭での保育ができない保育所未入所の乳幼児を一時的に保育所に預けることを「一時保育」という。保護者がパート就労や通学等によって家庭での保育が困難な場合に週3日を限度として預かる「非定期型保育」、病気や出産等家庭での保育が一時的に困難な場合にみてもらう「緊急保育」、保護者の育児に伴う心理的、肉体的負担を解消するためにみてもらう「リフレッシュ保育」がある。
ファミリー・サポート・センター
地域において子育ての相互援助活動を行う会員制の組織のこと。仕事と家庭の両立を支援するために、育児や介護を地域で支えていこうとするシステムであり、子どもの送迎や一時的な預かり、介護の援助等について、援助を頼みたい「依頼会員」と依頼を請け負う「協力会員(援助会員)」を行政が調整し、支援する。
コミュニティー
日常生活のふれあいや連帯感、共同意識と信頼関係を築きながら、自分たちが住んでいる地域をみんなの力で自主的に住みよくしていく地域社会のこと。
NPO
様々な社会貢献活動を行い、団体の構成員に対し収益を分配することを目的としない団体の総称。
QMS
Quality Management Systemの略。品質管理を中心とした組織の活動で、顧客満足を達成し、継続的な改善を意図する。
セキュリティー
危険から守り安全を保つこと。また、社会の秩序を守ること。不慮の事故や天災から守る防犯と悪意のある人物や団体から守る防犯に大別される。