計画

5.共に支え合い笑顔いっぱいのまちづくり

地域福祉の推進

①地域福祉
【現況と課題】

 少子化の進行や本格的な高齢化社会の到来、価値観の多様化に伴うライフスタイルの変化や核家族化など、地域や家庭を取り巻く環境は著しく変化しています。このような時代の変化を背景に、今後増大、多様化が見込まれる福祉需要に対応するため、本町では障がい福祉計画や地域福祉計画を策定しています。
 だれもが安心して地域で生活を続けられるようにするためには、個人や家族の力に頼るだけでなく、ボランティアや町民団体、社会福祉協議会等と連携しながら、要支援者を地域住民が主体的に関わり、地域全体で支えていくことが必要です。
 現在、本町では、社会福祉協議会や民生委員児童委員、自治会、ボランティア、NPOなど、多様な主体により各種福祉サービスの提供やボランティア活動等の様々な活動が行われています。今後、地域で支えを必要とする人はますます増えると予測され、地域に関わる様々な主体の役割分担や協働のあり方を検討するとともに、地域活動の中心となる人材を育成し、地域における住民相互の支え合いの強化を図りながら、地域の福祉力を高める必要があります。
 また、地域福祉は従来の福祉の枠を超え、防犯、防災、教育、文化、住宅、まちづくり等幅広い分野との連携が必要となっています。
 そのため、個々の活動が連動して大きな効果を生み出すよう、関係機関との連携、調整を図る必要があります。
 地域における活発な福祉活動を支えるため、「湯梨浜町福祉のまちづくり計画」に沿って活動の拠点となる各種福祉施設の充実を図るとともに、誰もが安全に活動できる暮らしやすい環境づくりを進めながら、バリアフリーの町を目指します。
 さらに、「社会福祉法」において地域福祉推進の中核的組織として位置づけられている社会福祉協議会については、地域のネットワークづくりに主体的に取り組むための組織強化と機能の充実が求められています。

【施策の内容】

地域福祉の総合的な推進

 地域の現状を踏まえ、必要に応じて「湯梨浜町地域福祉計画」の見直しを進めるとともに、地域福祉推進体制を充実させ、関連する計画や施策との整合を図ります。
 また、地域のネットワークづくりを推進し、要支援者を地域住民全体で支えるための啓発活動や生活支援、生活環境整備の充実を図ります。
 そのため、ボランティアや町民団体、社会福祉協議会等の活動団体や地域間の交流促進を図り、元気な地域づくりを進めます。

拠点施設(活動の場)の整備

 地域団体やボランティア、NPO等による多様な福祉活動が育ち、継続して行われるよう、活動拠点の整備や既存施設の機能拡充等を図ります。

福祉に対する町民意識の向上

 地域社会で支援を求めている者に住民が気付き、住民相互で支援活動を行う体制を実現するため、福祉についての広報やイベント等を通じた啓発活動など、積極的な情報提供により、町民意識の高揚を図ります。
 さらに、学校教育や社会教育における福祉についての学習を進め、年少期からの意識の高揚を図ります。

人材・組織の育成・支援

 地域福祉を推進するための中核的な担い手として期待される社会福祉協議会が、その機能を十分に発揮するように支援します。
 また、身近な地域での福祉活動を行うNPO、ボランティア及び専門的な人材等の育成を図るため、講習会や相談活動等の充実を図るとともに、組織づくりを支援します。
 さらに、これら団体等との連携強化を図り、地域と行政、専門機関等の協働による支え合いのネットワーク整備を進めます。

福祉サービス利用者への支援

 地域の関係機関・団体と連携しながら、成年後見制度や社会福祉協議会が行う地域福祉権利擁護事業の普及に努め、福祉サービス等を利用するうえで判断能力が十分でない認知症高齢者、知的障がい者、精神障がい者等の福祉サービスの利用を支援します。
 また、町民が安心してサービスを選択し、利用できるよう、サービス提供事業者とも連携しながら、サービスの質の確保を図ります。

暮らしやすい住まいの確保

 お年寄りや重度障がい者等に対し、住宅のバリアフリー化を支援するとともに、お年寄り向けの住宅や障がいのある人のグループホームなど、お年寄りや障がいのある人等が暮らしやすい居住環境の整備を促進します。

移動への支援

 一般の交通機関の利用が困難なお年寄りや障がいのある人等に対し、医療機関等への送迎や社会参加を促進するための外出支援について、利用内容の検討を行いながら、支援の充実を図ります。

福祉窓口体制の充実

 相談からサービス支援までをワンストップサービスでできるような体制づくりに努めます。
 また、相談窓口に専門性と総合性を持たせるために、保健・福祉に関する相談専門職の確保を図ります。

②児童福祉及びひとり親家庭対策
【現況と課題】

 全国的に急激な少子化が進む中で、年少人口が減少しており、安心して子どもを産み育てるための総合的な支援施策や福祉施策の実施が求められています。
 このような中で、平成15(2003)年に「次世代育成支援対策推進法」「少子化対策基本法」「改正児童福祉法」が相次いで制定・改定されるなど、総合的な少子化対策が進められています。
 本町においても、これまで定住促進や子育て支援のための様々な施策を実施してきました。次世代育成支援対策推進法に基づき、平成21年度には、平成17(2005)年に策定した「ゆりはますこやか子育てプラン」前期行動計画の見直しを行い、平成22年度から5カ年の後期行動計画を新たに策定しました。この中で「在宅子育て家庭の支援」「仕事と子育ての両立を支援」「配慮が必要な子どもと家庭への支援」「地域で子育てを応援していく意識の醸成」の4点を特に力を入れて取り組む重点課題と定めており、引き続き総合的かつ体系的な子育て支援、環境の充実に努めていく必要があります。
 本町における保育所入所児童数は、全体的に見るとほぼ横ばい状態ですが、地域によっては出生率の減少、乳幼児人口の減少で、保育所入所率が5割を切る保育所もあります。その一方で、0歳児や1歳児の低年齢児の入所は増加し続けており、近年の若い保護者の就労実態を反映した傾向であると考えられます。
 本町では、このような乳幼児人口の減少や保育施設の老朽化など、直面する保育環境の現状を踏まえながら、幼稚園・保育所の統廃合の検討を進め、幼保一体化の推進に取り組んでいます。   
 そのため、本町の地域性に配慮した効率的な運営と、よりよい幼児教育・保育サービスの実践から、スムーズに義務教育につなげていく必要があり、保育士等のさらなる資質向上と適正な人員配置が求められています。
 国では、平成25年度の本格施行に向けて、「子ども・子育て新システム」*の導入を進めています。本町においても、国の動向を見極めながら、新制度への円滑な移行を図っていく必要があります。
 町内の保育所では、働く保護者の支援策として、低保育料の継続や保育時間の延長、土曜日午後の保育、特別保育事業一時保育、病後児保育等様々な取り組みを実施してきました。平成22年度からは、新たに休日保育を実施し、病児保育の実施についても早急な具体化を検討しています。
 そのほか、放課後児童クラブは、現在、町内5カ所で開設し、対象学年を小学校1年生から6年生までに拡大しました。また、ファミリー・サポート・センター事業も着実に浸透し、提供会員・依頼会員もわずかずつではありますが増加傾向にあります。
 今後とも、さらに多様化、複雑化する保護者や家庭の保育ニーズを的確に把握し、適切な保育内容を充実していく必要があります。
 また、少子化や核家族化が進む中で、子どもが育つ地域のコミュニティーが希薄化しており、育児の孤立化や育児不安を抱く親が増加し、児童虐待に発展しかねない状況も懸念されます。
 このため、関係機関や地域社会も含めた子育て支援の拡充を図り、次代を担うすべての子どもたち一人ひとりの権利が尊重され、子どもの最善の利益が保障されることが必要です。
 さらに、障がいのある子どもを持つ家庭やひとり親家庭等では、身体的・精神的・経済的に多様な悩みを抱えながら生活している場合が多くあります。このため、療育システムや援助体制の充実など、福祉施策の拡充を検討していく必要があります。

【施策の内容】

総合的な子育て支援対策の推進

 「ゆりはますこやか子育てプラン(次世代育成支援後期行動計画)」に基づき、保育、保健、教育、防犯、男女共同参画等様々な視点から施策の推進を図り、安心して子育てができる環境の整備を図ります。
 また、子育てをするすべての家庭に適切な支援ができるよう、関係機関・団体、行政等の連携や町民との協働により、子育て支援ネットワークの形成等総合的な援助システムの確立に努めます。
 さらに、少子化問題の根本には「晩婚化・未婚化」があげられますが、現在、県が中心となって、社会全体で結婚を応援しようと男女の出会いイベントを実施し、出会いの支援を行っています。町としても、男女の出会いの輪が広がるよう、情報提供に努めます。

男女共同参画による子育て支援

 女性に偏りがちな家事や育児の負担、仕事との両立の困難さ等を解消するために、男女が共に参画し、子育てができる環境の整備に努めます。
 また、子どもを育てる家庭に配慮した職場環境を整備するよう、事業者等への働きかけを実施します。

地域における子育て

 子育てに関する相談、情報提供、サービス提供等を総合的に展開し、地域の子育て支援の拠点となる子育て支援センターの充実を図ります。
 また、放課後児童クラブファミリー・サポート・センター事業を拡充するとともに、子育て中の親子や子育てサークルが地域で交流し、相談し合える場の整備に努めるなど、地域における子育て支援の活動を一層充実します。

児童虐待の未然防止

 児童虐待の未然防止や早期発見と児童や家庭への援助に向け、保健、医療、福祉、教育、警察等関係機関と密接な連携を図りながら教育・相談活動を推進するなど、適切な対応に努めます。
 また、家庭や地域との連携をより一層深め、支援体制の充実を図ります。

配慮を必要とする家庭への支援

 身体的・精神的・経済的に多様な悩みを抱えるなど、障がいのある子どもを持つ家庭やひとり親家庭の支援を図るため、療育システムや援助体制の充実等支援体制の整備を図ります。
 また、外国人母による子育て家庭も増えており、このような配慮が必要な家庭が地域の中で孤立しないための支援体制の整備に努めます。

子育て家庭への経済的支援

 子どもを育てる家庭への経済的支援の充実を国に要望するとともに、安心して診療が受けられるよう医療費の公費負担制度の充実に努めます。
 また、特別医療費助成制度の助成内容の拡充を推進します。

安心・安全なまちづくりの推進

 子どもを犯罪や事故の被害から守るため、地域住民や学校、警察等との連携に努め、子どもが安全で安心して過ごすことができるよう、地域での見守り体制の充実を図るとともに、防犯設備等を整備し、生活環境の安全確保に努めます。

保育サービスの拡大・充実

 働く親等が安心して子どもを保育所にあずけ、安心して働くことができるように、低保育料や保育時間の延長、一時保育、土曜日午後の保育、特別保育事業等の施策の継続及びサービスの向上を推進します。
 また、病後児保育の拡充を図るとともに、休日保育や病児保育を実施するなど、働く保護者の支援を進めます。

幼保一体施設の建設と運営

 すべての子どもたちに等しく幼児教育と保育サービスを提供し、義務教育へとつないでいくため、幼稚園と保育所の持つ機能を一つにした「幼保一体施設」の推進を図ります。平成24年度には羽合地域に幼保一体施設を新設しますが、この基本的な方針によって、町内すべての施設を「幼保一体」として推進します。就学前教育と保育を一体として捉えた総合的施設として、安心・安全・信頼のもてる施設整備を進めます。

給食の充実

 社会や家庭のあり方が変容する中で、給食を子どもの学習・交流の場として位置づけます。
 そのため、町内保育所、幼稚園の全園において自園調理方式導入に取り組み、積極的に「食育」と「地産地消」を推進します。
 また、給食の適温管理や衛生管理の一層の向上により、食中毒の防止を図るなど、安全な給食の供給に努めます。


ライフスタイル
生活の様式・営み方。また、人生観・価値観・習慣等を含めた個人の生き方。
民生委員
厚生労働大臣から委嘱され、それぞれの地域において、常に住民の立場に立って相談に応じ、必要な援助を行い、社会福祉の増進に努める人で、児童委員を兼ねている。
児童委員
地域の子どもたちが元気に安心して暮らせるように、子どもたちを見守り、子育ての不安や妊娠中の心配ごと等の相談・支援等を行う。一部の児童委員は、児童に関することを専門的に担当する主任児童委員の指名を受ける。
NPO
様々な社会貢献活動を行い、団体の構成員に対し収益を分配することを目的としない団体の総称。
バリアフリー
障がいのある人やお年寄りが、生活、利用するうえでの障壁を取り除くこと。
成年後見制度
精神上の障がい(知的障がい、精神障がい、認知症等)により、判断能力が十分でない人が不利益を被らないように家庭裁判所に申立てをして、その人を援助してくれる人を付けてもらう制度のこと。
グループホーム
認知症のお年寄りや障がい等で生活に困難を抱えた人が、専門スタッフ等の援助を受けながら、少人数、一般の住宅で生活する社会的介護の形態のこと。
ワンストップサービス
一度の手続きで、必要とする関連作業をすべて完了させられるように設計されたサービス体制のこと。
インターネット
地球規模で広く相互接続されているコンピュータネットワークのこと。
子ども・子育て新システム
幼稚園・保育所の垣根を取り払い、利用者(子どもと子育て家庭)本位の一元的なサービス提供を目指す新しい仕組みのこと。社会全体で子育てを支えていくという理念のもとに、財政負担を明確にしながら、様々な子育てに関するサービスを提供していくもので、今までの幼稚園・保育所運営の考え方を根本から変えていく新しいシステム。国では、平成25年度の本格施行を目指している。
特別保育事業
子育ての負担感を緩和し、安心して子育てができるような環境整備を総合的に推進するため、延長保育、一時保育、地域の子育て支援等を実施することにより、児童福祉の向上を図ることを目的として行われる事業。
一時保育
保護者の疾病など、様々な理由で家庭での保育ができない保育所未入所の乳幼児を一時的に保育所に預けることを「一時保育」という。保護者がパート就労や通学等によって家庭での保育が困難な場合に週3日を限度として預かる「非定期型保育」、病気や出産等家庭での保育が一時的に困難な場合にみてもらう「緊急保育」、保護者の育児に伴う心理的、肉体的負担を解消するためにみてもらう「リフレッシュ保育」がある。
放課後児童クラブ
児童福祉法第6条の2に定める「放課後児童健全育成事業」。保護者が就労等により家庭にいない小学校に就学している児童を対象として、授業の終了後に小学校の余裕教室や児童館等の施設を利用しながら、適切な遊び及び生活の場を与えて、健全な育成を図る事業。
ファミリー・サポート・センター
地域において子育ての相互援助活動を行う会員制の組織のこと。仕事と家庭の両立を支援するために、育児や介護を地域で支えていこうとするシステムであり、子どもの送迎や一時的な預かり、介護の援助等について、援助を頼みたい「依頼会員」と依頼を請け負う「協力会員(援助会員)」を行政が調整し、支援する。
コミュニティー
日常生活のふれあいや連帯感、共同意識と信頼関係を築きながら、自分たちが住んでいる地域をみんなの力で自主的に住みよくしていく地域社会のこと。
地産地消
地域生産地域消費の略語。地域で生産された農産物や水産物等をその地域で消費すること。
ホームページ
個人や団体がインターネット上で、情報発信するためのページのこと。