第4編 民俗
第5章 民謡
第3節 わらべ唄
遊びに伴う唄
この項では、手まり・縄とび・お手玉・たこあげなど、子供の特定の遊びの際に歌われた唄を取り上げる。今日では、このような遊び自体がほとんど見られなくなっている。
[手まり]
(1)手まりよう来た 上がってござれ
上がれ言葉に かたじけないが
こちの嫁さん なして飯(まま)食わぬ
腹がにがるか 疝(せん)気がさすか
腹もにがらぬ 疝気もささぬ
腹に八月(やつき)の 子がござる
さー子がござる
(2)向こう婆(ばー)さん 縁から落ちて
すねを傷して こう薬はって
歩くたんびゅに あいたた あいたた
[縄跳び]
(1)波はどんどと 打ち寄せる
ここは海辺の 山の上
青空高く そびえ立ち
体に雪の 着物着て
富士は日本一の山
(2)○○さん お入り
ハイよろし
ジャンケンホイ
あいこでホイ
アッチュチュ
出てちょうだい
(3)郵便さん 走らんか
もーかれこれ 12時だ
12時過ぎたら罰金だ
1時 2時 3時 4時
5時 6時 7時 8時
9時 10時 11時 12時
(4)大波 小波
ひっくり返してアップップ
[お手玉]
(1)おっさーら
おひとつおとして おっさーら
おふたつおとして おっさーら
おみんな おっさーら
おてしゃみ おっさーら
おてばさみ おっさーら
おちりんこ おっさーら
ひよどり ひよどり ひよどり
ひよどり みぎひだり
なかきって つまよせ
しろいときって おっさーら
おてつき おっさーら
おてぷし おっさーら
しーろとんぎり おっさーら
ちーさいはし くぐれ
くぐれ くぐれ くぐれ
おっさーら おーはしわたれ
おっさーら きれたかしょ
いったんよ トントン
(2)おっさーら
おひとつこと おっさーら
おみんな おっさーら
[たこ上げ]
たこたこ上がれ 天まで上がれ
風の神さん 風吹いてーな
風も吹かんと 屁(へ)をふったっぞ
[コウモリ]
(1)コーモリコーモリ 降りて来い(注)
言うこと聞いたら 草履(じょーり)やっぞ
雨が降ったら 下駄やっぞ
(2)コーモリコーモリ つっかーかー
ねずみ大将 大(おお)大将
おかごで つっかーかー
(3)コーモリコーモリ つっかーかー
つかえて とったぞ
(注) かつてコウモリが数多く飛んでいた時代に、子供たちは草履や下駄を空中高く投げ上げて遊んだ。落下する草履などを追って、コウモリが舞い降りてくるのを楽しんだのである。
[羽根つき]
一(ひと)よろ 二(ふた)よろ
三(みー)みが 四(よ)ことって
五(い)つやら 六(む)こさん
七(な)にとって 八(や)さしや
九(ここ)のが 十(とー)よ
[手合わせ]
(1)いっしんしんや
一つひよこが 米の虫
たいどく ないないない
二つ舟には 船頭さんが
たいどく ないないない
三つ店屋の 番頭さんが
たいどく ないないない
四つ横浜 海水浴
たいどく ないないない
五つ医者さん 薬箱
たいどく ないないない
六つ昔は よろい着て
たいどく ないないない
七つ浪(なみ)ちゃんが ハンカチ振って
たいどく ないないない
八つやしんぼが 指をくわえて
たいどく ないないない
九つこじきが お椀(わん)持って
たいどく ないないない
十で殿さん お馬に乗って
たいどく ないないない
(2)一(いち)わたかいせ わしゃ石割らぬ
石屋衆こそ 石割るものよ
二(に)わたかいせ わしゃ庭掃かぬ
おなご衆こそ 庭掃くものよ
三ばたかいせ わしゃサバ売らぬ
あきんど衆こそ サバ売るものよ
四わたかいせ わしゃしわ寄らぬ
年寄り衆こそ しわ寄るものよ
五わたかいせ わしゃ碁は打たぬ
だんな衆こそ 碁を打つものよ
六わたかいせ わしゃ櫓(ろ)はこがぬ
船頭衆こそ 櫓をこぐものよ
七わたがいせ わしゃ火を吹かぬ
女衆こそ 火を吹くものよ
八わたかいせ わしゃ機織らぬ
女工衆こそ 機織るものよ
九わたかいせ わしゃ鍬(くわ)打たぬ
百姓衆こそ 鍬打つものよ
十ぱたかいせ わしゃ字は書かぬ
学生衆こそ 字を書くものよ
[ホタル取り]
(1)ホーホー ホータル来い
あっちの水は にがいぞ
こっちの水は 甘いぞ
ホーホー ホータル来い
(2)ホーホー ホータル来い
しょうぶ来い
柳の心棒(しんぼ)に 止まって来い
あっちに行きゃー お婆(ばー)が
木綿針立てるぞ
こっちに来りゃー お爺(じー)が
甘い露を飲ませるぜ