第4編 民俗
第5章 民謡
第3節 わらべ唄
本節では、かつて筆者が長和田で聞き覚えたわらべ唄を中心に紹介する。その大部分は、祖母から教わったり友達に習ったりしたものである。なお、東郷・松崎地区のわらべ唄については、昭和13年、東郷小学校が「郷土童謡」(第1〜5号)に集録しており、貴重な記録である。これらの唄の中には、長和田で歌われていた唄とは多少歌詞の相違がみられるものもある。わらべ歌は子供が口まねで歌い継ぐものであるから、歌詞が次第に変化するのは当然であろう。したがって、わらべ唄には前後に関連のない歌詞あるいは意味不明の歌詞が多くみられる。
わらべ唄は、遊びのなかで歌われるものが主であるため、単純な節回しが多い。歌詞も五七調などいわゆる歌謡の定型にはまらないものがある。「歌う」というよりは、言葉の調子を楽しみながら繰り返し唱えるといった趣の唄が多い。なお、前掲「郷土童謡」には、一部のわらべ唄の楽譜も掲載されているので参考にされたい。