第四編 民俗
第四章 人の一生
第五節 葬送

忌みと俗信
 死人があってから一定期間神まつりをしないことを忌みといった。村では三日間、薄い親せきは七日間、いとこは二〇日間、家族は四九日間それぞれ忌があるとして神まつりをしなかった。
 俗信では、カラスがカワー、カワーと鳴けば、死期の近づいた人がいるといわれた。寺の森から鳴くのがよく当たるというが、この時の鳴き声は病家には聞こえないといわれた。
 また、一年に二人の死者を出した家では、三人目が出ないように、かんの後ろに横づちを引いた。友引きの日には葬式を出すのを避けたが、やむを得ず出す場合にも横づちを引いた。横づちを人形に見立て、人間の代わりにしたものである。
   
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