第四編 民俗
第四章 人の一生
第一節 出生
安産祈願
子供に恵まれない人が神仏に祈ることは今も昔も変わらない。幸いに妊娠の兆候があると、家族で喜び、実家にも知らせた。
宮内の一ノ宮は安産の神として知られており、妊婦は必ず参拝した。実家から贈られた岩田帯を神社に持参し、神前でお祓〈はら〉いを受けるとともに、お札やお守りを授かった。境内にある神木・乳神さんに乳がよく出るよう祈った。また、安産岩を銅貨で削り、その粉を持ち帰り帯とともに神棚に供えておいた。
伯耆一ノ宮の参道わきにある安産岩
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