2編 歴史

3章 近世

2節 鳥取池田家の成立

5 藩の庶民救済施策

 

御拝借米

 「御拝借米」の語は『鳥取藩史』には、制度としては説明がないが、現実には村々から提出された拝借米願書が多数見受けられる。特に安政6年のものが知られる。前年の安政5年(1858)が不作であったためか、翌年正月、村々から一斉に願書が提出されているのである。すなわち、町域内では田畑・山辺・中尾・引地・小鹿谷・高辻・野方・白石・宮内・藤津・方地、他地域では宇野・石脇・小浜各村から提出されているのが確認される。

 このうち、小鹿谷村から提出されたものを挙げる。

 当年の営農ができない理由を挙げ、15石を10年賦で拝借したいと願い出ている。1戸平均1石弱であるが、願いのとおり借り受けできたかどうかは不明である。