第2編 歴史
第1章 原始・古代
第4節 古墳時代
2 町内の概観
祭事と神社
創建時代が明確に伝わっている神社の数は、意外に少ない。しかし、その信仰の源流は、遠く弥生時代、あるいは古墳時代にまでさかのぼることができると思われる。特に古墳時代になると、原始的な祭事が古墳を中心に行われ、共同体に共通した氏(うじ)の神が祀(まつ)られたり、古墳の被葬者自身が守護神としてあがめられたりするためである。10世紀の『延喜式』に記載された、東郷湖周辺のいわゆる式内社の3社に限ってみても、宮内・伯耆一ノ宮倭文神社と馬ノ山古墳群、宮内・狐塚古墳、倉吉市福庭・波々岐神社と大平山古墳群、北条町国坂・国坂神社と茶臼山古墳群が、それぞれ結びつけられよう。これらの古墳を築いた共同体の祭事が、のちの神社信仰の源になったとも考えられる。倭文神社の倭文は、しずおりとも読むことができ、馬ノ山古墳群に代表される東郷湖北側の古代共同体は、もと織物を専業とする部族であった可能性もある。