第2編 歴史
第1章 原始・古代
第4節 古墳時代
2 町内の概観
古墳の数と特色
『東郷町内遺跡分布調査報告書』に基づく町教育委員会の資料によると、町内には昭和62年3月現在で679基の古墳が現存する。内訳は前方後円墳13基、円墳666基である(表1)。このほか消滅したものも含めると、七百数十基の古墳があったものと推定される。
前方後円墳は全長90メートル以上が2基、50メートル級1基、40メートル級3基、30メートル級3基、20メートル級4基である(表2)。なお、現存しない門田の大平山日下山支群173号の前方後円墳は、前方部が極めて短い帆立て貝式の珍しい様式を持っていたとみられている。円墳の規模別では、直径20メートル未満320基、20〜30メートル未満37基、30メートル以上1基が確認されている。
古墳群のなかには、後期の群集墳もみられる。86基から成る埴見古墳群の大部分は、直径20メートル未満の中・小円墳で、若干古墳時代前期のものも含むが、後期群集墳の典型といえる。このほか北福、川上でも後期の群集墳が見られる。県内でも有数の横穴式石室の密集地である。このような後期の家族墓的群集墳は、前述したように追葬可能な横穴式石室の普及とともに、新しい社会階級の台頭を裏付けるものであろう。
町内の古墳のうち、これまでに正式な発掘調査を受けたものは16基で、全体の2〜3パーセントである。町内の古墳研究はまだ緒についたばかりといえる。
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