第2編 歴史

第1章 原始・古代

第4節 古墳時代

1 時代の特色と古墳

 

県内の主な古墳

 鳥取県埋蔵文化財センター刊の『鳥取県の古墳』によると、県内では日吉津村を除く全市町村に古墳が分布し、その数は1万を超えるという。その大部分は円墳と思われる。また、古墳分布の密度では、1平方キロメートル当たり27.4基の北条町をトップに、同15.9の東郷町、13.8の淀江町、12.5の気高町などと続いている。

 前方後円墳の大きさでは、全長110メートルの東郷町野花・北山1号墳が最大で、会見町・殿山古墳(108メートル)、羽合町・馬ノ山4号墳(推定復元値100メートル)、鳥取市・桷間(かくま)1号墳(92メートル)、東郷町宮内・狐塚(きつね)古墳(90メートル)、鳥取市・古郡家1号墳(同)などが続く(数値はいずれも前掲『鳥取県の古墳』による)。円墳では、大部分が直径10〜20メートルで、最大のもので50メートル前後であるといわれる(『気高町誌』)。

 分布地域では、東部の千代川や湖山池周辺、中部の天神川や東郷湖周辺、西部の日野川と大山山ろく一帯という3つの大きなグループに分かれる。

 初期の古墳では、米子市の青木遺跡、大山町の徳楽(とくらく)方墳、倉吉市の三度舞大将塚古墳(方墳)のほか、会見町の普段寺前方後方墳、倉吉市の国分寺古墳(前方後円墳か)、羽合町の馬ノ山4号墳、鳥取市の六部(ろくぶ)山3号墳などが知られている。中期には、大型の墳丘を持つものが出現し始め、典型的なものとして鳥取市の古郡家1号墳、桷間1号墳、東郷町野花の北山1号墳、宮内の狐塚古墳、倉吉市の上神(かずわ)大将塚古墳、淀江町の上(かみ)ノ山古墳、殿山古墳などが考えられる。

 後期になると、前述したように、県内でも家族墓的な群集墳が増えてくる。横穴式石室の普及で、古墳を築く階層が広がったためである。県内の代表的な古墳群には、鳥取市の八坂山・空山・美和の周辺、郡家町の霊石山、北条町曲、倉吉市の上神・向山などが知られる。特に倉吉・向山古墳群は、消滅したものなどを含めると400基にも達するような大古墳群であったと考えられている。

 なお、古墳時代の終末期に、山腹に穴を掘って墓とした横穴が見られる。山陰地方では出雲が有名であるが、県内でも鳥取市浜坂・淀江町などの横穴群が知られている(以上『気高町誌』)。町内の川上などに見られる横穴については後述する。

 

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