第2編 歴史

第1章 原始・古代

第4節 古墳時代

1 時代の特色と古墳

 

時代の特色と区分

 弥生時代に稲作が普及したことにより、人々の土地への定着化が始まった。さらに、人口の増加に加えて、鉄製の道具が普及し、耕地の拡大・生産量の増加をもたらした。その結果、富を持つ者・持たない者など階級の分化が進み、集団の統合、連合が促され、共同体が発展していった。共同体では、強力な統治者(首長)を必要とした。当時の首長は、神と現世を結ぶ司祭者としての性格が強かったといわれる。そして、この司祭者的首長が世襲的なものになり始めたとき、後継者が前首長の権威を示し、これを守護神として祀(まつ)るために、多くの副葬品を納めた壮大な墳墓を造り始める(平凡社『国民百科事典』)。これを古墳と呼ぶ。

 こうした初期古墳の大型のものは、奈良・大阪の畿内を中心に、岡山・北九州など当時の政治的先進地で、3世紀末から4世紀初頭にかけて出現する。古墳はこのあと、7世紀前半まで各地方で築かれる。この間の約350〜400年を古墳時代と呼んでいる。その区分の仕方には諸説があるが、ここでは前期(3世紀末〜4世紀末)・中期(4世紀末〜5世紀)・後期(6世紀〜7世紀前半)の3区分としておく。

 古墳時代は、大和政権による国土統一の時代でもあった。氏姓(しせい)制度や部民(べみん)制度(後述)などにみられるように、地方の豪族を配下に組み入れながら、大和朝廷を頂点とする階級社会を成立させ、後の律令体制の基礎を固めていく。この時代は、大陸から多数の技術者が渡来し、工芸技術が大いに高まったことも特色である。古墳の出土品に見られる鏡、石釧(いしくしろ)、埴輪(はにわ)(後述)などには、芸術的に優れたものも多い。

 

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