第2編 歴史
第1章 原始・古代
第2節 縄文時代
縄文時代の特色と区分
先縄文時代に続いて、磨製(磨いて作った)石器と土器を併用する文化が現れる。土器には、縄で付けたような文様が特徴的に多く見られることから、縄文式土器と呼ばれ、この土器を使用した時代を縄文時代と名付けている。
縄文時代は、紀元前3世紀ごろまでの約8000年の期間である。温暖な気候のなかで、沖積地が増大し、現在の地形がほぼ形成された。人々の狩猟生活では、従来の石槍(やり)(尖頭器)に代わって、石鏃(ぞく)(矢の先端につける石製の刃)を用いた弓矢が登場する。漁労の生活も活発になった。また、食べ物を盛ったり、貯蔵・煮沸したりするための土器が誕生したり、磨製石器が製作されたりして、生活様式が進展した(『鳥取県史1原始古代』。以下、本章では『鳥取県史』と略称する)。
8000年もの長い期間にわたって製作され続けた縄文式土器は、地域的、年代的に変化が著しく、多種多様である。しかし、長年の研究によって、文様と形を中心に土器の「型式」が編み出された。これに基づいて、縄文時代を幾つかの時期に分けて考えられている。一般的には古い順から草創期・早期・前期・中期・後期・晩期の六区分である。