北溟中学校と東郷中学校の将来像を統廃合も含めて検討してきた「中学校統廃合検討委員会」が意見書をまとめ、12月8日に上杉正之委員長が町長に意見書を提出しました。
 同委員会は学識経験者や公募による町民など21人で構成。昨年7月の第1回には両中学校を視察し、校舎などの現状を把握しました。以来委員会は4回開催され、東郷中学校における少子化と両中学校施設の老朽化、町の財政状況を踏まえながら、生徒にとっての最適な教育環境について検討してきました。
 意見書には、統廃合の議論はもう少し時間をかける必要があり、両中学校の耐震化整備が急がれるという方向性が示されました。
 町教育委員会では今後具体的な方針を決定し、来年度中に両中学校の耐震設計を行う予定です。

▼少子化問題
 羽合および泊地域では人口の現状維持が予測され、それに伴い北溟中学校の生徒数も現在と同程度が見込まれます。それに比べ東郷中学校の生徒数はわずかながら減数傾向にあり、生徒数の推移は北溟中学校のそれに比べ大きく異なります。平成30年ごろには、東郷中学校生徒数は120人台に減少する見込であり、学校運営や部活動などに大きく影響すると考えられます。

▼施設の老朽化問題
 両中学校の教室棟や特別教室棟などの施設は、建築基準法が大きく改正される以前の耐震基準で建設されたものです。これらの施設は生徒が1日の大半を学習や生活に費やす場であり、地域住民にとっては災害時における避難施設でもあることから、耐震改修工事を行う必要があります。

▼町の財政状況と各事業費
 町の借金である公債費は平成25年度には約25億、実質公債費比率(町の財政に占める借金の度合いを示す指標。3カ年の平均値が18%を超えると、借金をするのに鳥取県の許可が必要)は約22%となり、ピークを迎えます。
 これに対し、▼新しい中学校を新設する場合は約39億円▼北溟中学校に統合する場合と東郷中学校に統合する場合は、それぞれ約34億円で同額程度▼両中学校を残して、耐震補強した場合は約5億円の経費が必要になると推定されます。


 同委員会はこれらの問題を踏まえながら検討を重ねてきました。
 町内の中学生が一緒に学ぶことで切磋琢磨でき、両中学校を残して耐震補強をしても無駄な投資になる可能性があることから、統合した方がいいという意見がありました。
 その一方、統合した場合教師と生徒、保護者同士の関係が希薄になる可能性があり、中学校は地域の拠点として地域に残すべきとして「両中学校を残して耐震補強」という意見もありました。
 結局、統廃合に対して町民の一体感が生まれていないこと、いつ起きるかもしれない災害に備えることから、地域の避難所でもある両中学校を早急に耐震補強するという意見でまとまりました。
 町教育委員会では、意見書を踏まえ、耐震補強整備に向けて、来年度には両中学校の耐震設計を行う予定にしています。

 ある程度「統合」という方向性を持った検討委員会設立だった思いますが、委員会で最終的に出した結論は統廃合は時期尚早ということでした。
 現時点で統廃合の必要性があまり感じられないうえ、中学校に通う生徒や地域住民の意向を考慮すべきとの意見が多数あり、両中学校の耐震補強をという結論に達しました。
 統廃合問題をいずれ再度検討する時のため、方向性をしっかり煮詰めておくことが必要だと考えています。