昔々、「龍(りゅう)が池」の近くに村がありました。池をはじめ、山、海、池、田畑など豊かな自然と実りに恵まれ、村人たちは平和に暮らしていました。
 ある日、村の青年「タケハ」は、山の泉で天女の羽衣を見つけて隠しました。天に帰ることのできない天女「シトリ」はタケハと出会い、いつしかタケハの優しさにひかれ、2人の子どもにも恵まれ幸せに暮らしていました。しかし、天女としての使命を全うすべく、とうとう天に帰る日がやってきました。
 残されたタケハと子どもたちは、シトリの残した「山や池を守り続けてください」という約束を守り懸命に生きていましたが、新しく赴任した「地頭」と役人たちの暴政により、自然は破壊され、天変地異が起こります……
 町民ミュージカル第2弾「鶴がかえる日」が12月14日、ハワイアロハホールで上演され、昼と夜の部を合わせて約550人の来場者が、町民の熱演に拍手を送りました。
 町民ミュージカルは町まちづくり創造事業のほか、鳥取県総合芸術文化祭県民企画アートチャレンジ事業として、11月には倉吉未来中心でも上演。町外の人にも広く感動を伝えました。
 「鶴がかえる日」は、東郷池と羽衣石に伝わる天女伝説を素材にした創作ミュージカル。天女である母との約束を守って山や池を大切にする主人公や、地頭の命令に従い、自然の秩序を乱すと分かっていながら山の木を切り出す村人たち―。湯梨浜を取り囲む豊かな自然を再認識させ、その保全を訴える内容です。
 出演者の多くが町民であるということのほか、劇中、東郷池特産のシジミが多く登場。さらに、せりふは方言を使用するなど、町民が親しみやすいよう工夫された構成となっていました。