地域を肌身で感じ
将来のキーパーソンへ
 鳥取大学地域学部地域政策学科は、将来地域の発展に貢献できる人材育成を目指し、平成16年に創設されました。主に、自治体や地域における組織・経済・福祉について学び、2回生は、現地に出かけて現状や課題などを研究する、地域調査実習が必修科目となっています。創設以来、町はこの実習の対象となっており、1年間の研究の成果を発表する「現地報告会」は今年で3回目となります。
 学生たちは町内で、町の魅力や問題点にじかに触れたほか、梨あめを作るなどの「実践」も行いました。この実践を生かすため、本年度は報告会と同時に、地産地消をテーマとした「匠のつくる地産・食のフェスタin湯梨浜」を実施することにしました。
 本年度実習を行った学生52人は、▼行政改革や総合計画といった、行政の方針やあり方について研究する「行政班」▼町民の視点から、住民サービスのあり方を追究する「地域生活班」▼町の資源を見つめ、今後の産業・観光の可能性を探る「産業振興班」▼合併後における、住民が主体となった町づくりの課題を研究する「住民自治・合併班」▼まず町内を歩き、そこから問題を設定する「地域コミュニティ班」の五班に分かれ、それぞれのテーマのもとに研究しました。

問題意識と提言
学生が行う「政策形成」

 報告会では、学生18人が1年間の研究成果について発表しました。発表内容は、現状の調査結果報告に終わることなく、町への積極的な提言が目立ちました。ここではその一部を紹介します。
○行政に対しての苦情・要望が、どのように処理され、改善されたのか町民には見えない。町は積極的な情報公開を。
○松崎商店街の衰退という現状を踏まえ、今後は昔からの町並みを残しつつ、空き地スペースなどを駐車場として活用するべき。
○地元の資源を十分に活用できていない。「これが湯梨浜町だ」というイメージの創出に失敗している。行政がもっと観光分野に積極的にかかわるべき。
○中国庭園燕趙園をもっと地元住民が活用できるようにし、孤立した存在とならないためにも、東郷湖のまわりにある資源を生かした工夫を。
○町にNPO法人が少ない。行政がてこ入れをして、活性化させるべき。

学生と行政の協働から
行政と住民の協働へ
 町は、学生の研究という新たな視点から、たくさんのアイデアをいただきました。この報告会における発想や視点を参考にしながら、特色を生かした輝く町となるよう、町民の皆さんとともに町づくりを進めていかなくてはなりません。