はわい短歌会

投げて建つ他に技のなきがの投入堂突立つ巌窟煙雲の中
                     青木ます子

バスの窓霧が流るる三徳山投入堂をはるかに拝す
                     石川 愛子

ハワイ島湯梨浜町との交流に国際親善告ぐる童大使
                     礒江 久子

夢にだに出できぬ侭の夫なりし母子待ちわぶ六三年
                      井土 国子

杉木立縫ひて煙の上るさま祈りて見上ぐ炎の祭典
                     植原眞由美

つわの花揺らぎさやかに蜂移り余生あたたむ狭庭の小春
                     音田 照代

千年の風格残る投入堂今し国宝に瑞雲ただよふ
                     梶川 松枝

大山の夕映え残り暮れ初めし湖面おだしく鏡と光る
                     加藤 清野

しおさい句会

神の旅神話の国の屋形船            山田 禧恵

冬芽抱き大いなる地球まわりけり        藤井 千鶴

根深葱棒引くごとく抜きにけり         池田 淑子

渓流の蒼深めたり散紅葉            浦坂 厚子

白菜を上手に漬けし母を恋ふ          絹川喜久子

小鳥きてなごむ朝餉のカフェオーレ       吉田 早苗

神饌の鯛はねそうに冬日和           徳田 和子

草刈機ゆらぐ芒は刈らでおく          若本 素畊

濃紺菊厨の窓にそっと挿す           松本 松代

母の忌のかく穏しかり冬に入る         佐々木草馬