平成十六年十月一日、これまでの東郷町、泊村、羽合町の三町村の合併によりまして、新しい町「湯梨浜町」が、多くの住民の皆さんの期待と共に誕生いたしました。
 湯梨浜町は鳥取県のほぼ中央部で、日本海に面して位置し、西は天神川に、東は大合併の鳥取市と接する事になります。
 ご承知の通り、近年我が国におきまして、長期に渡る景気の低迷により、国も地方も極めて深刻な財政状況に直面する中で、地方分権とか少子高齢社会における福祉の
対応、あるいは多様化する行政需要に対処して行く上で、湖周三町村は合併による行政体制の強化とか効率化を選択し、平成十三年十月、県内最初の法定による「東郷湖周地域合併協議会」を立ち上げ、合併に取り組みました。
 以来、二十七人の委員さんによる、二十六回に及ぶ合併協議会とか、多くの住民の方々のご協力など、大変大きなエネルギーの下に、昨年十二月五日、三町村合同で「合併調印式」を行い、ついで十二月十一日には、三町村議会において、合併議案が可決されました。そして今年四月十九日、総務大臣の合併告示によってこの三町村の合併が正式に決定となりました。
 この合併によって、人口約一万八千人、面積は約七十八平方キロと、大きくない合併でございますが、住民の方々に、新しい町づくりに参画して頂きやすい、協調の図られやすい、合併と考えておりますし、また、三町村がそれぞれ半世紀以上の歴史の中で、先人達が築かれて来た、歴史、文化等も尊重される町づくりなるものと考えております。
 また、この合併で、景観豊かな東郷湖とか、その湖畔のはわい・東郷温泉、あるいは我が国最大の中国庭園燕趙園そしてグラウンドゴルフ発祥の地・潮風の丘とまり等、多くの観光資源が、新町に一体的にまとまる事となり、湯梨浜町の観光振興に向けて大いに寄与する事になると感じております。
 ご承知の通り昨年三月に、山陰道の機能を代替する青谷・羽合道路が完成いたしまして、在来の国道九号とか国道一七九号、あるいは主要地方道倉吉青谷線などとの、ネットワークの中で、新町における交通の利便性が更に高まっている所でして、こうした事からも「住んでみたい町」として、さらに人口の定住促進が顕著な、賑わいのある「湯梨浜町」になる事を期待して
おります。
 こうした交通網は、新町の商工業とか、各種産業の振興発展に、そして果物大国として東郷二十世紀梨とか、ブドウ「ピオーネ」あるいはイチゴ「とよのか」など特産物の振興にも大いにその役割を果たすものと考えておりまして、とりわけ山陰道の早期整備促進は、地域間競争、定住促進等において一方の重要な課題と受け止めております。
 また、この十六年度からスタートしました、国と地方の税財政を見直す「三位一体改革」は、ご案内の通り税源、補助金、地方交付税を一体的に見直すものですが、現状は補助金とか交付税の削減が優先され、税源移譲はほとんどないといった、地方にとって財政的に一段と大変厳しい状況となっておりますが、新町「湯梨浜町」の町づくりはこれからがスタートでして、後継者不足とか国内外の競争の激化等大変厳しい農業問題、そして極めて深刻な社
会経済情勢の中で商工業とか諸産業の振興など、山積する諸課題に対処して行く上で、まずは新町の職員の一体的な協調を初め、住民の皆さんの積極的な「町づくりへの参画」が大きな要因と考えております。皆さんの格段のご協力なりご尽力を賜りますよう、よろしくお願いします。

湯梨浜町長職務執行者
 井上 正直