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「松くい虫」とは?

印刷用ページを表示する掲載日:2017年2月1日更新 <外部リンク>

 「松くい虫」という虫は、実はおりません。

 松を枯らす原因となる「線虫類」を運ぶ虫のことを、通称「松くい虫」と呼んでおり、多くはマツノマダラカミキリ(体長3cm程度)という昆虫のことを指すのが通例です。

マツノマダラカミキリ

マツノマダラカミキリ マツノマダラカミキリの標準的な一生は約1年で終わります。

  1. 6月から7月上旬にかけて、枯れた松から8mm程度の穴をあけて外に飛び出します。
  2. 飛び出した後、枯れていない健全な松の1年~3年生の若い枝の表面をかじって栄養を取ります。(これを後食(こうしょく)といいます。)
  3. 7月上旬から8月末にかけて交尾を行い、枯れた直後の松に卵を産み付けます。(メス1匹は、約100個の卵を産み付けます。)
  4. 卵は1週間でふ化し幼虫となり、はじめは樹皮部分を食べますが、成長につれて材部を食べるようになり、さらに松の体内に穴をあけて部屋を作り、そこから出入りしながら松を食べます。
  5. 11月頃になり、気温が下がると松の体内の部屋にこもり、穴の入り口に木くずを詰めて越冬します。
  6. 体内の部屋で越冬した幼虫は、5月頃に蛹になり約20日間で成虫となり、その後1週間程度で枯れた松から外に飛び出します。

マツノザイセンチュウ

マツノザイセンチュウ  北アメリカ原産の線虫で、明治時代に品物を輸入する時に使われる梱包材と一緒に日本に入り込んだとされています。

 体長は約1mm程度の小さな線虫ですが、卵から生まれて親になるまで3~5日しか必要としません。メス1頭は約100個の卵を生むため、ものすごい速さで増えていきます。

 このマツノザイセンチュウが松内部に侵入すると、交尾・成長を繰り返しながら幹の中で増えていき、やがて水の通りが悪くなり、葉が枯れ始め、結果として松そのものも枯れてしまいます。

 しかしこのセンチュウは自力で移動することができません。そこで松を食物とするマツノマダラカミキリに寄生し、カミキリが松を食べている間にその松へ侵入、増殖して枯らす→枯れた松をカミキリムシが産卵に使う→羽化した新カミキリにセンチュウが寄生→次の松へ移動、という共生関係を築き、恐ろしい松枯れを次々に引き起こすのです。これは最後の1本が枯れるまで続きます。

 国内でも一時、猛威をふるった病気であり、壊滅的な被害を受けた松林も多数あります。現在も対策は続いており、根絶は難しいものではありますが、貴重な松林を守るため、防除活動を続けています。